「潤す」と「冷やす」
街路樹の紅葉も始まり、ようやく秋ら
しくなってきましたね。
昼もだいぶ短くなり、朝晩は肌寒く、
空気も乾燥してきました。
数週間前までは夏日になることもざら
にありましたので、気候の落差に身体
がついていかないという方も、いらっ
しゃるのではないでしょうか。
11月7日の立冬までは、季節の変わり
目にあたり体調を崩しやすいといわれ
る土用の期間です。
気候に即した服装や旬の食材で身体を
労わり、季節の変化に上手に対応して
いきましょう。
当サイトでもたびたびご紹介していま
すが、東洋医学には薬膳という食養生
の考え方があります。
薬膳ではすべての食べ物に薬効がある
と考えます。
そのときの体調や気候に合致した食材
や調理法を用いた食事は薬になります
が、合わない食事を摂り続けていたら
体調を崩してしまいます。
東洋医学において、秋の養生の基本は
乾燥対策です。
この時期に喉や鼻の粘膜、皮膚などの
乾燥をなるべく防いでおくと、もっと
寒い季節のカゼ予防になるといわれて
いるのです。
秋が旬の梨、柿、蓮根などの食材には
身体を潤す作用があります。
また、これらの食材には身体を冷やす
性質もあります。
乾燥対策以外にも、カゼで熱があると
きや、身体がほてりやすい体質の方が
生で食べれば、身体を潤し熱を冷ます
薬効のために、症状の緩和を期待する
ことができます。
反面、冷え症やお腹を下しやすい体質
の方は食べ過ぎに注意が必要です。
梨を焼き梨にしたり、生よりも干し柿
を選ぶようにすると、身体を潤す薬効
はそのままに、冷やす性質を緩和させ
ることができます。
身体に優しくなりますので、冷えと乾
燥の両方が気になる方は試してみてく
ださい。
このように、陰陽の「陰」に属するも
のは「潤す」と「熱を冷ます」の両方
の性質を持っていることが多いです。
寒いときに飲む温かいお茶は美味しい
ものですし、身体が温まるように感じ
ます。
ですが、温かいお茶でも頻繁に飲むと
徐々に身体は冷え、尿量が増えるばか
りです。
お湯といえども水分は熱を冷ます作用
を持ちます。たき火にお湯をかけても
火は消える、というようなものです。
汗をかかない季節、特に冷え症の方は
飲む量を減らしてみてください。
乾燥対策のための潤い補給としては、
水分ではなく果物や野菜などの食材を
食べて補ったほうが身体に優しいとさ
れていますよ。
粘膜や皮膚の乾燥がひどい方は、食べ
物のほかに、睡眠をたっぷりとったり
風呂の温度をぬるめにするなどの養生
も行なってみてください。
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